軽井沢での講演を機にご縁を持たせていただいた長野の賢人たち。その一人星野嘉助さんに宛てた内村鑑三(敬称略)からの書簡の写しを頂戴した。やはり心に訴えるところがあり、日ごろの自戒を込めてインターテクストブログにアップしておこうと思う。大正十五年といえば、西暦1926年。その年に内村鑑三はこんな心象でいたのだ。

大正十五年七月二十八日、星野温泉若主人の為に草す
成功の秘訣 六十六翁 内村鑑三
一、自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一、本を固うすべし、然らば事業は自ずから発展すべし。
一、急ぐべからず。自働車の如きも成るべく徐行すべし。
一、成功本位の米国主義に倣ふべからず、誠実本位の日本主義に則るべし。
一、濫費は罪悪なりと知るべし。
一、能く天の命に聴いて行ふべし。自から己が運命を作らんと欲すべからず。
一、雇人は兄弟と思ふべし、客人は家族として扱ふべし。
一、誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一、清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一、人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。
以上
