Marketing

学校マーケティングの現状について調べてみました

私の現在行っている仕事の中に、学校のマーケティングというものがある。以前も、大学のブランディングのことに触れたが、今回は、高等教育でははく、初等教育の方である。

さて、大学もさることながら、初等教育においても、少子化の影響などから、当然競争は激化しているわけで、インターネットの検索では、「学校経営セミナー」、「学校マーケティングの導入」なる言葉が引っかかる。しかしながら、その内容はオープンキャンパスや生徒募集パンフレットなど生徒の入り口での販売戦略と言ったものがほとんどであり、入学後の学生の満足度や卒業後のフォロー体制など、入学以外の学生のライフサイクルに関することは現状のセミナーでは行われていない様子。

しかし、経営またはマーケティングとは、狭く広報や販売だけではない。それは、「学校教育という製品(サービス)」を含め、学校全体を捉えなおす方法と機会である。学校が教育というサービスを提供すると言うことは、生徒の在学と、諸要素の関連で決定される学納金の交換ということである。したがって、学校のマーケティングは、学校側と学生側(広くは学校教育活動にかかわりを持つ複数の個人・集団)が、相互に関連し合いながら、より適切な授業料を仲立ちとする交換活動の実践を通して、互いの目的を追求し、目標を達成し、コミュニケーションの活動を展開して、相互の満足と価値の創造の実現へ向けて、より効率的に資源の適正配分を行うための、学校管理の計画の全過程を意味するものとして認識され、理解されなければならない。
また、最近は文部科学省も教育改革を盛んに訴えているが、これまた、「学校の目的は何か」といった本質論がスッポリ抜けてしまっているのも事実である。これが、現状の学校マーケティングの実態と言ったところだろうか・・・。
そもそも、学校の果たすべく役割とは何なのであろうか。
私は「社会に出るに当たって競争力のある人間を創り出すこと」が学校教育が果たすべき本来の役割だと考えている。しかし、現在の学校教育の状況を見て、その役割を果たしているとは思えない。
では、学校が本来の役割を果たすために、すべきことは何か。私は、学生が社会に貢献するための何かを学生に修得させることだと思っている。それは、大学だけでなく、中学・高校生のときにも、それらの素地をもった学生になれるような教育を行うべきでもある。
もちろん社会には職業は無数に存在しているため、求められる何かは職業によって異なっている。
私は、それが今の学校にとって一番重要なポイントではないかと考えている。
と言うのも、すべての生徒に最善の学校であることが不可能であることを多くの学校はまだ自覚していない。だからこそ、万人に向けてのぼやけた教育理念を訴えるに過ぎず、自校のブランドアイデンティティが確立されていない学校が多いのではないか。
今後、学校に求められることは、自校のブランドアイデンティティを確立するために自校のターゲットとなる学生をしっかりと定めることと、学生ライフサイクルにあわせたて、それを体系化していくこと。そのためには、自校の歴史や教育理念を再検証し、自校の特質等を分析・検証したうえで、ターゲットの選定(機会の検証)をし、それぞれのサイクルに合わせた戦略実行する、といった一連のマーケティング戦略が必要となる。

COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. こんにちは。海野さんにたいへんにお世話になっております、えぐち です。
    学校のマーケティング、いずれぜひ、いろいろ教えてください。
    学校って、入口と中間と出口と、それぞれ大切だと思うのですが、なにしろ、「先に金払うのは風呂屋と学校だけ」ってわけで、とにかく学生や生徒が「はいってナンボ」って世界のようです。
    専門学校なんかは特にその傾向が強く、広告宣伝にかける費用は、そうとうのものだそうで、電車から良く見えるところに看板出したがることから、「車窓産業」なんていうひともいるくらいです。
    初等教育っていうのは、(たぶん私学だと思うのですが)、また独特のマーケットですね。
    ではでは。

  2. えぐちさん、こんにちは。
    学校マーケティングについてのお話はまた今度。
    で、shigematsuくん。
    >私は「社会に出るに当たって競争力のある人間を創り出すこと」が学校教育が果たすべき本来の役割だと考えている。
    この下り、って考えさせる部分だよね。
    現実論的には「競争力」なのかも知れないけれど、
    果たしてそういう理解だけで教育が成り立つのか。
    僕は教育は国家の大計だと思っているので、
    競争戦略的な視点も勿論大切だけど、
    もっと帰納的な帰結でテーマが設定されるべきじゃないか、
    と思ってしまいます。
    望むべき社会に必要な一定の倫理観や世界観を理解させるのが
    本当は一番重要な教育なのではないかなあ。
    まだ思考がまとまりませんが、そんなことを考えています。

  3. 海野さん、学校マーケティングについて、また今度、おしえてください。
    で、shigematsuくん。
    なんの反応もないのね。

  4. >えぐちさん。
    shigematsuって、そういう奴なんです。(笑)
    何か反応しろよ。>shigematsu

  5. 社会に出るための倫理観などを生徒に伝えることは、学校の求められる基本的な事柄ですが、これらのことが正しく指導されていないことが、今日、公教育の崩壊が叫ばれている大きな原因だと思います。
    生徒の競争力を養う教育を行うことは必要条件として学校が行わなければいけないことであり、そこが学校のマーケティング(またはブランディング)につながる重要な点だと思います。しかし、倫理観の育成などを教育の根幹にすえることは、絶対条件であり、そこが欠如していては学校はマーケティング以前に、学校としての役割を果たしていないといえるのではないでしょうか。

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会社概要


社   名:株式会社インターテクスト(INTERTEXT INCORPORATED)
設   立:2001年(平成13年)2月26日
代表取締役:海野裕(Yutaka Umino)
従業員数:5名
業務内容:マーケットリサーチ
マーケットインサイト
データ解析(アナリティクス)
ストラテジックプランニング

ボードメンバー


海野裕 Yutaka Umino facebook / twitter / instagram / note
President / Chief Analyst
株式会社博報堂のマーケティングプラナーを経て、2001年株式会社インターテクスト設立。
プライベートエクイティと連携したマーケティング改革プロジェクトも多く経験し、マーケットインサイトと経営を総合的に立案できることが強み。医療、病院等ヘルスケア、地域振興、流通改革、ブランディングなど多くの領域でマーケットインサイト業務をこなしている。

熊手えり Eri Kumade facebook / twitter / instagram
Project Manager / Editor in Chief of MIMI and DolceVita
清水建設、日本設計を経て、たかの友梨ビューティクリニック直営店の管理業務でマーケティングとブランディングを学ぶ。女性の美容と健康に関する知識と経験は他と一線を画し、店舗や商品の細部からブランドを構築するセンスと、建築設計の実務で培われた高い実施能力が強み。特に40代以上の女性のQOLに関するプランニングには卓越している。